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土曜日, 7月 14, 2007

SICKO

マイケル・ムーアーのドキュメンタリー「SICKO」を今夜見てきました。年のせいか今回の米国生活では度々病院にお世話になっている私。日本とは全く違う医療制度への戸惑いは今も隠せません。

その大きな違いを具体的にお話しすると;
1.アメリカには国民健康保険が一部の貧しい人やお年寄りを除いては存在しません。保護を受けるほどでない人たちは民間の保険に入るか、入らないかという選択しかありません。(その米国の国主導の健康保険なるものは「メディケア」という)

2.各保険会社はネットワークという系列みたいなもので特定の病院や医者と繋がっていて、指定のネットワーク以外の病院で手当てを受けると保険が下りずに全額負担となります。(なので、実際住む場所が決まったら、ネットワークの効く病院と医者探しをしておく必要があります)

3.病院へ行くと“どこの保険会社か”と聞かれ、治療を受ける前にドクターのいう手当てを患者に与えていいかを病院が保険会社に電話をかけて確認します。

このとき保険会社は監査のような役割をします。その医者が病気や怪我に相応しい手当てをきちんと患者に与えているか、不当な手当てでないか等を確認し、該当する処置であると判断したとき電話してきた病院側に“OK、治療費はカバーしますから手当てをしてください”と伝えられ、やっと患者は治療を受けられるのです。

・・・なので具体的に時間差がこのように現れます。注射を打つと医者が診断したら、再び待たされ(ここで確認の電話やりとりがあると思われる)、やがて看護婦さんが現れて実際の治療を済ませることになります。

患者にとっては安心と思われますが、実は今とても問題になっていることが、この民間の保険会社のチェック機能。本来の監査機能とは反対に現場の医者の判断よりも、保険会社の意見の方が強くなってしまうため(病院側は保険会社許可がなければ、治療してもお金を貰えない)“患者への治療が制限される”または“許可の下りない手術をしたため助かった患者が破産する”といったことが起こっているそうです。

元を辿れば、ヒラリー・ロダム・クリントンの夫が大統領のときに、当時もっとひどかった医療事情を改善するため国主導の健康保険制度をつくろうと頑張っていました。が、医療関係者や保険会社などの抵抗に遭い制度の実現はなりませんでした。

それに変わるものとして民間の保険会社の間で出来たのが今のネットワークという制度。(1995~96くらいの出来事と思われます)すると、このアメリカで現在もっとも一般的となっているネットワークという制度はかれこれ10年経つのですね。限界が見え隠れしている・・・いやいや、今夜見たSICKOから言わせたらもう限界なんでしょうが。

4.もうひとつの違いは、ホームドクターの決定。健康診断や予防という意味では専門医を紹介してくれるので安心です。しかし、未だに考えます。症状が出たときに医者を訪ねても治療が受けられるわけではないので、ERや近所の治療センターへ駆け込むわけです。もちろん信頼できるホームドクターに“信頼できる皮膚科を紹介してくれ”などと質問できる利点はあるものの、基本的にところそういった専門医は予約制のため、突然発症した場合は先の場所へ向かわざるえません。

いつなるか分からないのが怪我や病気。なのに旅行中でさえ自分のネットワークの医療機関を気にして病気にならなければいけないなんて・・・こうして考えると米国は非常に暮らしにくいですね。

日本ではいつ公開なのかな・・・反響が楽しみでもあります。これは結果的にヒラリーの大統領選挙への後押しになるのかな・・・。クリントンファミリー好きな私としては、ヒラリーには是非民主党で票を勝ち取り、大統領選挙に出て欲しいです。共和党よりのFOXでも“ヒラリーは確実に民主党から選ばれる”というコメントも聞きます。日本のメディアはどう語られているんだろう?

付け加えたいことがまだあるので後日また校正入れますが、とりあえず今日はこんな感じです。



余談:
先日1ドル映画館へ「ジョージア・ルール」を見に行ってきました。ところが始まった直後から雑音が凄くてたまりません。やがて係員の人が映写室へ上がってきて色々いじり始めたのですが・・・全然効果なし。むしろ途中で音が消えちゃったりして“吹き替えいれられる?!”ってなくらい最悪。

観客は1ドル映画館というチープなところへ来てるくらいの人たちだから、誰一人としてただでは帰らないわ・・・ってなん感じでジッと辛抱強く席に座っているし。私は正直、どうしていいか分からず動けなかった。

映画館側はようやく断念したのか、開始から30分程経過したところでパッと明かりがつきました。係員より“今日の上映は中止でチケットを出すのでまた後日見に来てください!”と説明があり、私は表でチケットを貰って帰ってきました。

こんなこともあるのね~というへんてこな日でした。

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